「昔は良かった」という錯覚
2024年3月2日
ここでは大人や年寄から「今の若者は・・・」と言われて心に傷を負った方や本当に自分達の世代が
悪くなっていると思っている方の心を楽にしたいと考えて記事を書きます。
ですから該当しない方はスルーしてください。過去の栄光や思い出に浸りたい人に水を差すつもりは
ありません。栄光の思い出や自分の世代の優位性を信じたい方は読まない方がよいです。
皆さんは「昔は良かった」「今の若い者はダメだ」と言われたことがあると思います。
年寄達は「昔の人は立派だった。善良だった。快活だった。我々はもっと根性があった」
とか言うものですが、私の冷静な分析では昔も今も人の基本的な性質は全く変わっていないと思います。
時代の変化に適応した分、習慣や文化、考え方に違いがあるだけです。古き良き時代など老人の妄想に感じます。
むしろ今の時代の方が改善されているし、今の人達の方が社会の変化に適応している分柔軟性があると分析してます。
私も年を取ってわかってきました。
私も「昔は良かった」「今は悪くなった」と脳が感じるようになっています。
これは脳が老化したから起きる現象であると判断できます。現実ではないと思います。
昔の若者が舟木一夫の「高校三年生」やフォークソング「太陽がくれた季節」の歌詞のように明るく爽快だったとか、
金八先生に出てくる生徒みたいに活気があり、骨があったなどというのも幻想だと思います。
歌やドラマに出てくる若者の姿は作られた演出であり、現実の人間像ではないです。
人間は昔も今も変わってないです。私は冷静にそう分析してます。
人間というのは過去を美化して思い出す習性があります。
古典や文学、時代劇なども美談ばかり表現されています。多くの人は歴史を偉人の物語でイメージし、
文学や物語を昔の日常だとイメージします。でも、それは庶民の日常ではありません。
江戸時代、みんなが武士だったわけでもありませんし、平安時代にみんなが源氏物語みたいな貴族の
生活をしていたわけではありません。ほんの数パーセント、貴族に至ってはもっと少ない比率です。
物語や美談を現実の日常と考えることは科学的、合理的な考え方ではありません。
人間は年取ると美談、物語、現実が区別つかなくなってしまい、物語の偉人と現代人を比較して
今の人は堕落したと嘆いたりします。さらに郷愁が強くなってきます。(郷愁そのものはいいんですが)
自分の若いころや幼馴染、故郷などが特別だったように感じてくるのです。
それは単なる脳の生理的な錯覚にすぎないのです。誰でも自分の故郷を特別、一番だと感じるだけなのです。
さらに脳が老化してくると、あたかも現実にそうだったと勘違いしてしまうのです。私もそれを体感してます。
当然、年寄達は今が悪くなってるとか、昔は良かったとぼやき出したくなるわけです。
「郷愁」に浸ってるだけなら良いですが、口にしたらダメですよね。でも、口にする人が多いです。
それを真に受けてしまう素直な若者がいるのです。私はそういう素直な若者が不憫に思ってしまいます。
決して、自分達や今の時代を悪くなったなんて思わないで欲しいです。
少なくともここを書いてる私という老人は「今の時代は昔よりもあらゆる面で良くなっている」と考えてますよ。
今の時代や自分達の誇りを自ら傷つけないで欲しいです。無意味な他人の妄想で傷つかないで欲しいです。
昭和の時代を知ってる私は口を大にして言いたいです。
「昭和の頃の人間が立派だったというのは嘘である。正直で芯があった?人間的に強かった?
それは一部の人だけ。今も昔も同じ。ほとんどの人は立派ではない。
善良だった人は一部だけ。みんなが明朗快活でも、人情深くもなかった。多くの人は軟弱で自己中、そして無気力。
むしろ、昔の人は単純で、閉鎖的で柔軟性がなかった。
昔の若者は、みんな学生運動をして正義のために闘ったというのも嘘。立派に闘った人はほんの一部。
ほとんどの人は当時のブームに乗っていただけ。ネットで他人を誹謗中傷してる偉そうな正義漢と同じ。
いじめやハラスメントは今よりも酷かった。
昔はいじめやハラスメントの被害者は泣き寝入りする以外になかった。逆に「やられる方に問題がある」とされた。
「昔のいじめは情があり、今ほど陰湿ではなかった、清々しさがあった」と評論家が言うのも嘘。
はっきり言って、今も昔も何も変わってない。50年前も評論家は全く同じことを言っていた。
ずっと悪くなり続けてきたの? そんなことはない。昔も今も評論家は同じことを言ってるだけ。
「昔は今のような凶悪事件はなかった」というのも嘘。無差別テロ、保険金殺人は明治の頃から起きている。
江戸時代も辻斬りなど無差別殺人は頻繁に起きていたのである。文学や名作の世界を昔の日常と思ってはいけない。
昭和の人がみんな勤勉で忍耐力があったということもない。寧ろ今の人達の方が何倍も忙しい。だから忍耐強い。
環境の変化で発達する能力や習慣が変わるだけで人間の全体のキャパシティはいつの時代も変わらない。
情報力、言論の発信力ははるかに今の方がレベルが高いです。昭和の頃はTVや雑誌の意見を受け売りするしか
できない人がほとんどだった。TVや雑誌で「松田聖子が一番美人だ」と言われたら「私もそう思う(そう思おう)」
という感じであった。昭和の時代にはみんなと違う考えを抱いてるだけで仲間外れにされたのである。
自分を押し殺して「普通・らしさ」を演じて生きる北朝鮮みたいな抑圧された社会だったのである」
「昔は良かった」「今の若者はダメになった」というぼやきは遠い昔から繰り返されてきた定番のぼやきに過ぎない
のです。今が悪くなったとしか考えられない老人は脳が老化しているのであり「今の若者はダメだ」と言って
若者を傷つける老人は器が小さい人なのです。そんな人の言う説教などまともに聞く必要などないのです。
参考ページ:昔も今もこの世はジャングル