本作品は2016年作です。

●霊能サロン「ドロン・ドロ」 シリーズ●

<第14話 夢の新店舗>

 社長と武田の間で、隣町に新しい店を開く話が着々と進んでいた。
武田のバイク店を新しく再建するプロジェクトである。
 社長の提案で、みさのセンスを生かした占いカフェと雑貨店をミックスした
アフリカ風の斬新な店が着々と実現しつつあったのである。

 このプロジェクトには県の観光担当 吉田俊美 も参加していた。
この女性は小柄ながら男っぽくて世界各地を巡るのが趣味というタイプであった。
地元にエキゾチックな店を開くということに遣り甲斐を感じていたのだ。
3人は定期的に集まって打ち合わせをしており、大まかな骨組みが固まったので
今度は詳細な調整をするため、みさも加えようということになり、
社長はみさに参加するよう声を掛けたのであった。

「みさちゃん、今週末、新しい店の会議があるの、来てくれるわよね」
「はい、行きます」
「あなたのアイデアを是非聞きたいので存分に言ってね。
 武田さんが可愛いバイトを揃えて3人トリオで唄わせようとか、
 店先に焼き鳥屋を開こうとか言って困ってるの。
 あの人、いい人なんだけど、何かセンスがないのよね。
 県の職員 吉田さんも来てくださるの。
 この人はやる気満々だから何でも相談してね」

 店のオープンが現実になりつつあることを知ってみさの心は弾んだ。
みさは会議がうまくいく呪文「レヨント・マメバヨ・トロワロ・ワネモテデラ」
を唱えることにした。

 週末に商店街のレストランで4人が集まり会合が始まった。
社長が乾杯の挨拶をした。

「皆さま、今回も来て頂いてありがとうございます。
 今日も忌憚のない意見をお願いします。店はもう完成間近です。
 頑張りましょう。では、会議をはじめましょう。乾杯!
 
 今日は店の女将さんとなる みささんに来てもらいました」

「みさです。女将さんなんて恥ずかしいです。店で働かせて頂けると聞いて
 光栄です。一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします」
「久しぶりだね。みささん、武田だよ。私のオヤジが築いたバイク店を
 心を込めて改築したんで、頑張って欲しいね。
 要望があったら何でも言ってくれ。でっかい駐車場も周りに作ったから」
「県の観光担当の吉田です。みささんとは初めてですね。みささんの第一印象は
 エキゾチックですね。その雰囲気、ファッション、アフリカンね。
 その飾り、自分で作ったの? センスあるわね。期待できるわ。
 御存じの通り、アフリカは未だ未開発の地域なんですが、将来性は高いです。

 今はアジアの時代ですがあと20年もするとアフリカの時代にシフトする
 と考えています。今の内に種をまいておき、将来の県の産業に育てて
 行きたいと考えています。政府のODAと連携してアフリカの物産を
 この町に輸入してここを産業の拠点とする戦略を練っています。
 先ずはみささんの店を成功させることが第一歩となります」

「大方店の内容は詰めています。1Fはカフェと占い部屋、2Fに
 雑貨店を設けます。資材の調達先も手配しています。あとは人なんですね」
と社長が切り出すと、武田が提案した。
「カフェのコックにはアフリカ人を雇ったらどう? アフリカ料理が出来る人がいい。
 ウェイトレスはもちろんAKBの子みたいなかわいい子」

社長が苦笑いをしているとみさが口を開いた。

「あのう、コックさんはこの町で喫茶店や飲食店をしていた人を雇ってください。
 最近、商店街で潰れてしまった店がいくつもあると聞いてます。仕事を失った人に
 来て頂きたいと思ってます。アフリカ料理について私が指導します」

吉田がすかさず質問した。

「この町の人達の雇用を確保することには賛成です。
 でも、みささんアフリカ料理を本当に知ってるの?どこで習ったの?」
「夢の中です」
これを聞いて、武田は爆笑し、吉田は目が点になった。
社長がフォローした。
「みさは、不思議な能力を持ってるの。たまに御馳走になってるけど、本当に
 アフリカみたいな味を出せるのよ。天性の才能ってやつね。
 ではこの町で失業した人をアサインすることにしましょう。
 あとはウェイトレスと、雑貨店の店員ね。これもこの町で募集することでよいわね。
 みさちゃんのセンスでこの人がよいと思ったら決めていいのよ」

「ところで、武田さん、スピリチュアルマシンも置いて頂けるんですよね?」
とみさが質問した。すると武田は気まずそうに答えた。
「ゴメン。あのマシン、ダメだった。パソコン一つ置くからそれで勘弁ね」
「いや、ごめんなさい。無くてもいいです」

4人の夢に満ちた談議は夜中まで続いた。全員が希望を抱いてワクワクしていたからである。
みさも自分が店を持つことなどありえないと考えてだけにこの上ない幸せを感じたのであった。

 翌日、みさはデパートの占い部屋に出勤すると、ここもあと僅かだという名残り惜しい感じが
じわりと湧いてきた。お礼を込めて有終の美を飾ろうと張り切っていた。すると
中年の女性が相談に訪れた。
女性が口にしたのは息子についての相談であった。

「相談があります。私の息子なんです。実は・・2年前に死亡したんです」
愛想よくしていたみさの顔が急に無表情になった。
「コンピュータが好きでプログラマーになったんですけど、仕事し過ぎで・・
 過労死してしまったんです。好きな仕事に夢中になってそのまま亡くなったそうなので
 苦しんで死んだわけではないので、それだけが救いですが・・

 時々、息子が夢に出て来るんです。夢の中でもゲームソフトを作っているみたいですが
 ゲームの中に入り込んでしまって戻れなくなったって言うんです。助けてって言うんです。 
 ただの夢だろうと思っていましたが、ある時携帯にメールが来たんです。息子からです」

女性は携帯電話を開いて見せた。そこには「元の世界に帰りたい」という助けを求める
内容が書いてあった。みさは見た瞬間にそれがあの世からのメールであると分かった。

「夢ではなかったんです。息子は今あの世でどういう状態なのでしょうか?
 成仏していないのでしょうか? 見て頂きたいのです」

みさが女性の息子に意識を向けてみると 息子さんはあの世でも仕事をしている
様子が見えた。よっぽどゲームソフトを作るのが楽しかったのか、あの世でも
パソコンに向かってせっせとソフトを作っているのが見えたのである。
しかし、息子は時々首をかしげるのである。
「なんか時間が止まってしまったみたいだ。変だなあ。
 それに何で自分は食事も睡眠もしなくて大丈夫なんだ?魔法の世界に居るみたいだ。
 たまにソフトで作った世界に入り込んだりする。どうして?」

 みさには状況が見えてきた
「この人は死んだことが分かっていないんだわ」
みさは息子さんに死んだことを告げようと意識を向けた。
すると、みさの意識体が息子のすぐ近くに出現した。
これで息子さんと会話をしようと思ったが息子は「お化けだ・・」と逃げてしまった。
これでは会話することもできない。

「どうしたら息子さんにメッセージを伝えることができるのかしら?」
と悩んでいると隣に座っていたシャップがテレパシーで教えてくれた。
「この子は生きていた時にあの世のことも霊のことも全く信じてもいなかったし、
 頭の中はゲームソフトのことだけだったんだ。
 だから死んでも死んだことに気づかないし、自ら殻を作ってしまっているんだよ。
 いずれは目が覚めるけど、お母さんの為にも今目覚させてあげたいね。
 どうしたらいいか・・

 そうだ、メールを送るのはどう?」
みさはシャップに答えた。
「でも、宛先のアドレスなんて分からないわ」
「それは術を使うしかないね」

みさとシャップが会話をしている様子を女性は驚いた表情で見つめていた。
「この人、猫と話をしているの?」

みさはスマホでメールを作成した。
「私はみさと申します。
 あなたはもう死んでいるんです。過労死してしまったんです。
 それに気づいてください。
 あなたが居る場所はあの世なんです。
 私が現れてもお化けだとは思わないでください。
 私の話を聞いてくださいね」

と打ち込んで呪文を唱えた。

「マノゼェー・ドロンドロ マノゼェー・ドロンドロ マノゼェー・ドロンドロ」

するとメールは見えない次元で送信されてあの世の息子のPCに届いた。
息子はそれを開いて読んだ。そして呆然としているのが見えた。

「嘘だ、嘘だ、死んだなんて。
 だってこうして生きてるじゃないか?
 死んでなんていない」

再び、みさが意識を向けて息子の近くに現れてみた。
今度は息子は逃げないでみさを受け入れてくれた。
みさは息子に話しかけた。

「残念ですけど、あなたはもうあの世に居るんです」
「嘘だ、そんなの。僕はこうしてソフトを作っているんだ。
 何にも現実と変わっていないじゃないか?」
「あの世はこの世とそっくりなの。でも、どこか変だと感じているはずよ?」
「でも、僕の仕事は未だ終わっていない。
 歩きスマホでアニメのキャラを探すアプリを開発してヒットさせるんだ」
「もうそのソフトは他の人が完成させてしまったわ」
「嘘だ」
「嘘ではないわ。諦めなさい」
「僕には、夢があるんだ。
 面白いソフトを作ってみんなを楽しませるんだ。
 まだ何にも達成してないよ。死ぬわけにはいかないんだ」
「でも、死んでしまったの。諦めるしかないの」
「そんな・・」
息子は泣きじゃくってしまった。

みさは気の毒になってしまった。
社会人になって未だ何も達成感を味合わっていないのに
この世を去ってしまうことになったこの青年に。
しかもとても純粋な心を持つ好青年である。

シャップにはいい案が浮かんだようであった。
「みさ、この息子に店の店員になってもらえばいいんじゃない?」
「何言ってるの。幽霊じゃ何もできないわ」
「メールだよ。お母さんにメールを送ることができたんだから。
 あの世からのメッセージを伝えるメッセンジャーになってもらえばいいんだよ」
「そうか? すごいわね。スピリチュアルマシンができるじゃない」

みさは息子に話しかけた。
「あなた、私の店で働かない? お母さんにメールを送ったでしょ?
 その技術を使ってお客さんにメッセージを送って欲しいのよ。
 そうしたら皆喜ぶわよ。あなたの技術が人の役に立つのよ」
息子はそれを聞いて少し気持ちが落ち着てきたようであった。
「僕の技術が役に立つなら何でもするよ。ありがとう」
「ではさっそく、お母さんにメールを送ってあげなさい」
「あなた、お名前は?」
「マコトって呼んで」

女性が みさとシャップの会話を不思議そうに聞いていた時にメールが送られてきた。
女性は携帯を開くと、そのメールは息子からであった。

「お母さん、ごめん。
 僕はもう死んでいたんだ。今気づいたよ。
 目の前に居る占い師さんが教えてくれたんだ。
 僕はもう大丈夫だよ。迷いが無くなったよ。
 あの世で楽しく過ごすことにしたよ。
 この占い師さんが僕に夢のような仕事を与えてくれたんだ。
 僕は頑張って世の中の為に働くから。
 何も心配しないでね」

これを読んで女性は涙を流してお礼を言った。

シャップはみさに語り掛けた
「カフェで注文したお客さん一人一人にメールを送るサービスをするんだ。
 携帯が無い人には端末で受けて印刷してあげる。
 預言カフェみたいで、これは絶対うけるよ。
 メッセージ送信はさっきの息子さんにやってもらおう。
 さて、メッセージは誰が作成するのか? 
 あの世でも占い師を探さないとね」

 みさは定休日に店に行ってみることにした。ワクワクしていたからである。
店は隣町にあり、駅からもそんなに遠くはない。「場所はいいわね」
現在外装工事中であった。店の周りには駐車場も整備されている。
申し分の無い店なのであるが、何故か陰鬱な雰囲気が漂っているのであった。
その雰囲気は背後に広がっている原生林から来ていた。みさにはすぐにわかった。

「ここは霊が集まる場所だわ。森が茂っていて湿気がある場所、こういう場所を
 霊が好むの」

 店に近づくとみさの目の前にロープが何重にも張られている感じがした。
見えないロープ、つまり結界である。みさが近づくとロープが太くなって
みさを近づけないようにしていると感じられた。
すると森からざわざわと霊が寄ってくるのが見えた。色んな人達、動物や精霊
みたいな様々な存在が集まってきてみさを睨んでいる。
「どうして、歓迎してくれないのかしら?」
と思っていると霊達の代表のような人がテレパシーで伝えてきた。
「この森を開発するつもり?それともこの森を乗っ取るつもり?
 この森は昔から霊達の憩いの場なの。あんたの好きにはさせない」
と訴えてきた。みさは急に具合が悪くなるのを感じて、すぐさま自宅に帰ることにした。

「せっかく店をオープンしようと思っているのに、まるで反対運動に
 あったみたい。どうしたらいいのかしら?」
と悩んでしまった。

 夢の中でみさはダギフ様にこのことを相談した。ダギフは答えた。
「きっと君の事を誤解しているんだろう。現代では多くの森や霊場が壊されている。
 人間の身勝手なふるまいに怒りを覚えている霊達も大勢いることは確かだ。
 君も霊の憩いの場である森を破壊したり、制圧したりする輩なのでは?と恐れている
 のだと思う。
 その場所は遠い昔、古墳があったように感じるよ。
 巫女さんみたいな人が居るのが見える。その人に掛けあうとよいと思うよ。
 森を荒らしたりはしないと安心させればわかってくれると思う」

 みさは夢から覚めて店の土地について過去透視を試みてみた。
過去100年、200年・・と遡っていく透視法である。店があった土地はずっと
森であったことがわかった。田畑として開拓されなかった理由は古墳があって
神聖な土地だと古くから考えられていたからのようであった。過去には神社が
建てられていた時代もあった。
 森の中心には霊達を癒す光のような存在が居るのも見えてきた。
それが過去遡るにつれて段々と強くなっていく。
そして数千年遡った頃、日本では縄文時代のような時代の頃に古墳があって
祭祀が行われているのが見えてきた。マンガでよく見る卑弥呼みたいな巫女さん
が火を焚いて儀式を行っているのが見えてきたのである。

 我々が現代でも行っている儀式と同じように見えるがやはり何かが違う。
当時の祭祀のエネルギーはとてつもなく強く、しかも祭祀の間に神様が出現して
ほとんどの人の眼に見えていたのである。
古代人にとって神様は現実の存在だったのである。

「きっと、古代の人達にとって祭祀は単なる儀式ではなく、死活問題だったんだわ。
 必死な思いがあったから神様が本物みたいに出現したんだわ」

霊視をしていて気づいたことがあった。祭祀および神様には天から光が注がれている。
とても柔らかい光である。その光と繋がれば解決策があるかもしれない。
 みさはその光に意識を向けてみた。すると光がみさの体にも注がれてくるのが
感じられた。とても柔らかくて優しい光である。遠い宇宙の彼方の世界の光に
感じられる。みさは光に質問してみた。
「この光はどこから注がれているのでしょうか?」
すると光は古代の巫女さんのような形になってみさの霊視の中で現れた。
そしてその巫女さんはみさにやさしく語り掛けた。

「あなたは感じ取ることができるのですね。
 私はあなた方がいる地球から遥か彼方に存在する星にいます」
「あなた方は宇宙の他の惑星の人達なのですか? 縄文人にそっくりですね?」
「我々はエネルギーも姿形も全てあなた方に合わせています。
 我々は古代この地の人達を支援してきました。
 地球の生態系に手を加えることが禁止されていますが、霊的に入り込むことは可能なのです。
 我々は、原始人たちを霊的に支援したり、魂を転生させたりしました。
 我々のように遥か昔に文明人になった世界にとって原始人はとても興味深いからです。
 また、他の惑星の生命体を支援する義務を果たさないと我々自身も存続できないのでずっと
 支援をしてきました。今でもこの森を支援しています」
「この森の主である巫女さんもあなた方の支援によって存在するわけですか?」
「そうです。この森は多くの霊達を癒す場として機能しています。
 そのエネルギーも我々が供給しています」
「お願いがあります。この森で私は店を開きたいのですが、
 森の霊達が私を警戒しているのです。
 私は森を荒らす気などないことを伝えて欲しいのです」
「我々にはあなたが森を荒らす意図がないことがわかります。
 逆にあなたが来ることで森は守られます。
 伝えておきます。我々が指示すれば理解してくれるはずです。
 その代り、森の霊達のケアもしてあげて欲しいのです」
「もちろんです。私の出来ることはしてあげます」
「もう一つお願いがあります。明日ある女性が相談にあなたの元に訪れます。
 その女性の娘さんを雇って欲しいのです。われわれと繋がりがある人で、
 あなたの役に立つように導くことを約束します」
「そうします」
「採用してくれたら、森の霊達にもあなたに協力するように指示します」
 
みさはこの時、初めて宇宙の他の世界の存在と対話できたのであった。
知らず知らずの内に自分の能力がレベルアップしていることに気づいたのであった。
「これで森の霊達も協力してくれそうね。もしかしたら
 もう変化があるかもしれないわ。マコトさんに聞いてみようかしら」
みさはスマホを片手にマコトさんに念じてみた。
「マコトさん、店の経営うまくいくか? 教えて!
 あの世で未来が見えるでしょ?」と念じるとスマホにメールが送られてきた。
「みささん、未来は見えないけど僕の周りにいろんな人達が来ているよ。
 巫女さんみたいな人もいる。みんな好意的だよ。
 店の手伝いをするように神様からのお告げがあったんだって。
 占いや予言もしてくれるみたいだよ」
とメールに書かれていた。
「もうみなさん、分かってくださったのね。
 あの世って意思の伝達が早いのよね。ほとんど一瞬でみんなに伝わるのよね。
 マコトさん、メールを社長さん、吉田さん、武田さんにも送ってみて。
 あの世からのスピリチュアルメールだよって
 本人しか知らないことを書いてくれると驚くわよ」
「わかったよ。やってみる」

しばらくして社長が電話をしてきた。
「みさ、今あの世からメールが来たけど、これ本当なの?
 あなたの指示なの? だったらこれ凄いわねよ」
とびっくりしているのが分かった。
吉田さんも武田さんもビックリ仰天したようであった。
みさはちょっとイタズラして驚かせたような気分になってほくそ笑んだ。

「ところで、宇宙の星の光が言っていた女性ってどんな人かしら・・」
と思っていると翌日、女性が相談に訪れたのであった。

女性は消衰しきった表情で来るなり、娘のことを話だした。
「あのう、娘のことで話があるんです。今日、これから娘があなたに相談しに来ます。
 あなたに相談するように強く言ってあるので必ず来ます・・
 お願いです。娘が来たら「あなたは悪霊に惑わされています」と言って欲しいのです」

みさはいきなり驚くような話をされたので戸惑ってしまった。

「どういうことなのでしょうか?」
「娘は今、引きこもっています。小さい頃から真面目で勉強熱心な子で大学まで進学したのですが・・
 大学で変なサークルにはまってしまい、それ以来宇宙人が付いてるとか自分は宇宙人の
 生まれ変わりだとかそんな変なことばかり言うようになったのです。
 勉強そっちのけで宇宙人の本ばかり読むようになって遂には大学中退してしまい・・
 家に引きこもるようになってしまいました。
 引きこもっても女の子らしいことは全然興味なくて宇宙人のことばかり考えているんです。
 このままでは娘は嫁の貰い手もありません。お先真っ暗です。
 それで宇宙人のことを忘れさせたいんです。あなたにはっきり言ってもらいたいんです。
 宇宙人なんていない。全ては悪霊が妄想を煽っているだけ。
 だからそんなものは忘れなさいって」

女性の相談は驚くような内容だったのである。
この人が宇宙の光に雇うと約束してしまった娘さんなのだろうか?
こんな人がきちんと働いてくれるのだろうか? みさの心は重くなった。

つづく

※ レヨント・マメバヨ・トロワロ・ワネモテデラ の呪文は会議がスムーズに進む効果があります。(推奨7回)



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