本作品は2016年作です。

●霊能サロン「ドロン・ドロ」 シリーズ●

<第10話 スピリチュアルマシン>

 今日もみさは夢の中でダギフ様の王宮に訪れて妃として過ごしていた。

庭園でダギフとルイボスティーに似たお茶を味わいながら二人の
ひと時を過ごした。庭園は綺麗に手入れがしてあり、バラや蘭のような花が咲き乱れていた。
日本の花と違い、アフリカの花は強い色彩があり、それが独特の美を表現しているのであった。

 ダギフはみさにそろそろ話すときが来たという雰囲気で、
みさがいつも疑問に思っているようなことを語ってくれた。

「君は日本で重要な仕事をする使命があるんだ。そろそろそれがはじまるよ。

 世界は植民地支配の暗黒の歴史による恨みの渦に満ちている。
 現代でも世界は混乱の中にあるのはそのためだ。
 恨みのエネルギーはこの地球を滅ぼしてしまうほどのものなのだ。
 恐ろしいほどの恨みのエネルギーが世界を縛っているんだ」
「テロもそれが原因なの?」
「原因を辿って行くとやはりそこにたどり着くだろう。
 それは数百年も蓄積されてきたもので、膨らんだ負債みたいなものなのだ。
 このままでは世界は確実に滅びるほど負債は重いんだ」
「解決する方法はあるのですか?」
「簡単ではない。
 人々が愛の気づきをすれば立ちどころに世界は変わるなどと
 説法をする人達もいるが、それほど現実は甘くないのだよ。
 霊界のことや霊達の想いというものをしっかりと知らなければならないのだ。

 もう一つは過去を変える技術に解決の糸口があるかもしれない。
 ジェマはずっとそれを考えてきたようだ。
 ようやく何か糸口が見えてきたらしい」
「ダギフ様は悪魔だとおっしゃりましたがとても悪魔には思えません。
 救世主みたいです」
「私は悪魔になる決意をしたのだ。
 私の国は西洋人によって滅茶苦茶にされ王国も潰された。
 私はその復讐をするためにアフリカの悪魔達に魂を売ったのだ。
 それで力を得たのだ。
 私は国を滅ぼした人間達に復讐すると誓った。

 でも、君は私の元から離れてしまった。そして君は日本に生まれた。
 日本に生まれた事を知った時から私の考えに変化が起きた。
 霊界から見ると日本には遠い世界から強い光が注がれているのがわかるんだ。
 世界の命運に深くかかわっていることも分かるんだよ。
 日本という国には未知の世界から意識が向けられているんだ。
 君もその世界と関わる運命であるに違いないのだ。

 君が日本に生まれた時から私は悪魔の復讐ではなく、
 君と日本の将来に賭けることの方が正しいと思うようになった」

「私が日本に生まれたのは必然だったのですか?」

「そうだ。君は日本の背後にいる力から選ばれたのだよ。
 世界を救う秘密も日本にあるような気がするんだ。だから
 私は君を支援したいのだ。

 悪魔達はテロ組織を使って世界に復讐をしようとしている。
 しかし、テロは関係の無い人達も巻き添えにする卑劣な手段だ。おぞましすぎる。
 それにテロに参加して死亡した者は死んでも大変なことになる。
 決して天国になど行けない。
 多くの若者が天国に行けると信じてテロで命を落とすが実際にはそうではない。
 そういう偽りの誘惑に若者が陥ることも私には耐えられない」

「ダギフ様は優しいから悪魔にはなれないわ」

「君は神様からも注目されているようだ。
 君が生まれてからあの日まで私は君に干渉することも守ることもできなかった。
 私は遠くで見守っているしかできなかったのだ。もっと偉大な存在が君を
 鍛えていたのだと思う。君が背負っている使命を果たすために。

 君が苦しい子供時代を送っていたのに私は何もできなかった。
 はがゆい思いだった。

 でも、あの日から私は君を守ることが許されるようになった。
 きっとそれが神様の意志なのだろう。

 私は君にはこれまで苦労した分を取り戻して欲しいと願っている。
 ここで過ごしてもらっているのもその為だ。
 君は妃の過去世を思い出して存分に楽しんで欲しい。

 それともう一つ言っておきたい。
 君が私の妃であったのは遠い昔のことだ。
 現代に生きる君は妃ではない。
 だから好きな人ができたら自由に結ばれてよいのだよ」

「やっぱり優しい人だわ。
 ダギフ様と比べたらそこいらの男なんて男に見えないわ。
 ずっとダギフ様に愛され続けたいわ。できれば肉体をもって
 再び結ばれたいと思っているわ ダーリン様」

「ふふ・・君には必ずいい人が現れるよ。
 そうだ、君に伝えたい事がもう一つある。
 これから重要な任務が本格的に始まる。
 君の持っている能力がもっと生かされる任務だ。
 それを予告しておく」
「どういうこと?」
「近い内に分かってくる。重要な人が君を意識している。
 日本の国の命運を左右するほどの人が君を意識しているんだ。
 近く、君の前にその人達が現れる。
 これから出会う人に注意を払うことだよ」

この日の夢ではみさは意味の深いことをたくさん教えてもらい、目が覚めた。

数日後、占い部屋に良くしゃべる調子者みたいなオヤジタイプの男がやってきた。
「社長さんは居る?」とみさに聞いてきた。
「社長さんは今日は来ません。明日の午後には来る予定です」と答えた。

「きみがみさか?噂は聞いているよ。私も君の能力には興味があるよ。
 実は、私は新しいビジネスを展開したいと思っているんだよ。
 これが私の店だよ。」
 と写真を示した。古ぼけたバイク屋が写真に写っていた。
「バイク屋だったんだが、もう廃業したんだ。最近バイクは売れなくなってねえ。
 この店を新しいスピリチュアルセンターという店にしたいと思ってるんだ。
 どうだい? この店の将来を見てくれるか?」

みさは霊視した。すると店は綺麗に改装されているのが見えた。
そして大勢の人が来店しているのも見えた。

「お客さんの夢は叶います」とみさは答えた。
「さすが、凄い能力者だ」と上機嫌になった。

「オヤジが築いたバイク屋を俺の代で廃業してしまって、
 何とか店を再起したいと思ってさ。
 このスピリチュアルセンターは、誰でも死者と会える場所ということなんだ。
 共同墓地なんかじゃないよ。
 この写真にあるように、端末を通して故人と会ったり話をしたりできるようにする
 サービスなんだ。凄いだろ?亡くなった両親や友人などに会って話をすることが
 できるようにするんだ。写真をかざしたり、文章書いたりするだけで
 微細波動なんたらを読み取って霊界に居る故人とパイプを繋いで通信するんだ。
 凄いだろ。絶対繁盛するよ」

「凄いことですね。霊界通信機ですよね?」
「そうそう、エジソンが発明しようとしたそれ。
 今の科学でそれが実現したんだよ。
 アメリカのデューコ大学のカイン博士という人が
 最先端の素粒子論によって実現した技術なんだ。
 アメリカじゃ、歴史を変える発明だって大騒ぎになってるらしいよ。
 もうそこまで科学は進歩していたんだね。
 人工知能と言い、ロボットと言い、科学の進歩は
 SFだった夢を次々実現しているよね。感激だよ。

 これだよ、これ、もう霊界通信機は販売されているんだよ。
 スピリチュアル・コミュニケーション・マシン というんだ。」

 パンフにはタブレットみたいな画面に個人の顔が映し出されて
電話みたいに話をすることができると書かれていた。
しかも、自動翻訳機が付いていて世界中の誰とも会話できると書いてある。

「凄いですね。SF映画みたいですね。
 私のような霊能者はもう要らなくなるんでしょうか?」
「はは、そんなことはないよ。これは電話でしかないからね。
 霊を救済したりはできないんだ。それは霊能者の重要な仕事だよ。
 だから君みたいな人が居れば鬼に金棒なんだよ」
「あの世の様子も見ることができるんでしょうか?」
「そうさ、あの世の様子をカメラで撮影することも研究中らしいんだ。
 きっと実現するよ。これで
 あの世があるということが証明されて多くの人が死の恐怖から解放される。
 人間が生きている本当の理由もわかるようになるし、
 死後も人生が続くということが分かれば犯罪を犯す人も減るだろうし、
 善い行いをするようになると思うよ。
 この世のつまらない争いはなくなるだろうし、
 平和な時代が実現するに違いないよ。
 私がそれを実現する先駆けのビジネスをしたいんだ」
「すばらしいですね。是非、成功させてください」

みさは「この人がダギフ様が言ってた重要な人なのかしら?」
と思っていると横で座っていたシャップがテレパシーで話した。
「そう、重要な人の一人だよ。怒らせないようにね」

「明日、社長に会いにまた来るよ。
 社長とこのビジネスを提携して全国に広げる構想も考えているんだよ。
 夢があるだろ?」
「是非、頑張ってください、明日お待ちしております」
「でもちょっと気になることがあるんだ。
 このマシンを申し込みしてから3か月たっているんだけど
 注文が殺到しているらしく、未だ送られてこないんだ。
 生産が追い付かないらしいんだ。
 それが心配なんだ。何かの勢力に妨害されているんじゃないかって。
 いつ頃送られてくるか?予知できる?」

みさが霊視してみたが・・何も見えてこない。
「ごめんなさい。何も見えないんです。
 その会社を霊視しても装置に関する事が何故か?見えないです。
 もしかしたら何か重大な問題が起きているのかもしれません・・・」
「なんだよ、はっきりしないなあ。まさか会社が廃業? 
 それとも闇の勢力につぶされた? なんか不安だなあ。
 さっき俺の店は繁盛するって言ったのに・・
 君の霊視はあてにならないな」
男はむっとした顔をしたのでみさはあわてて
「護符を作ってあげます。買い物がうまくいく数字を書いた護符です。
 "480,290,948,578,987" この数字に魔力があります」
と護符に数字を書いて渡した。

みさは「何で見えないのかな?」と不思議に思った。
さっきの人のビジネスが成功することは見えたのに。
何か強い妨害が働いているのかもしれないと感じたのであった。

 翌日、社長が来る前にその男性は占い部屋に来て待っていた。
社長の有子が来ると、早速面会を願い出た。男性は

「武田賢治と申します。商談をお願いいたします」

と名刺を有子に渡した。
有子は直観でピンと来たようで「是非、お話を伺いましょう。
隣のフロアに喫茶店があります。そちらに行きましょう」
と男を誘導した。

 有子と男は喫茶店で対面して商談を始めた。
男はスピリチュアルセンターを開く構想をうれしそうに話した。

「凄いでしょ? 全国にチェーン展開する夢もあります。
 私はバイクのことしか知らないので社長さんに協力して
 頂きたいと思っています」

これを聞き、有子は答えた。
「確かにいいビジネスですね。でも、そのマシンを見ない事には・・」
「ちょっと問題があって未だ届いてないんです」
「ちょっとそのパンフレットを見せて」
有子がノートPCを取り出して検索して調べ始めた。そして怪訝な顔に
なって男に問いただした。
「あなた、このマシン・・ちょっと問題がありそうよ。調べてみた?」
「未だ日本では知られてないので情報はほとんどないです」
「アメリカの商品だから英語で調べてみればいいじゃない?」
「英語が読めないので・・」
「これねえ、手に入らないかもしれないわよ・・」
「どうしてですか? まさか圧力が掛かって潰された・・」
「いえ、そんなんじゃなくて・・」と有子は黙ってしまった。

「一体何なんです。はっきり言ってください」
「今、検索して分かったんですけど、このマシンは実をいうと・・」
「なにがあるんですか?」

「つまり・・・その・・
 詐欺ですね。諦めたほうがいいです」

これを聞いて武田はびっくり仰天してしまった。
「ええ、そんなことないはずです。
 業者は非営利団体ですよ。善い人達が運営している団体ですよ」
「非営利団体と名乗っていても問題起こしてるところはたくさんあるわよ」
「でも、デューコ大学のカイン博士というちゃんとした人が推薦しているんです」
「あなた、この博士のこと調べたの? 学位なんてお金で買えるのよ」
「でも、ほらこの装置はアメリカの物理学会が認めているんですよ。
 学会でも発表してます。証拠の写真もここに載ってますよ」
「発表しただけでしょ? 学会は会員が希望すれば発表くらいさせてくれるの。
 学会がマシンを認めたわけじゃないわ」
「そんな・・でもこの技術は特許になってますよ。ここに書いてあります」
「特許出願中と書いてあるだけよ。出願するだけならタイムマシンでも
 魔法の杖でも何でも出願できるのよ」
「・・でも詐欺なんてありえない。
 詐欺ならすでに警察沙汰になってるはずです」
「ネットにはカラクリが書いてあるわよ。
 このマシンの値段は100万円。その内、80万円が寄付金でしょ?
 そこにカラクリがあるのよ。
 送金しても送られて来ないのよ。なんだかんだ言っていつまで経っても送られて来ない。
 そこでしびれを切らして解約すると言うとマシンの代金20万円は返してくれるわけ。
 でも寄付金80万円は返してくれないのよ。寄付金は返す義務がありませんと言ってくるわけ。
 寄付金も返せと言うと米国の裁判所に訴えて訴訟をしてくださいと答えるわけ。
 訴訟の方がお金が掛かるのでみんな諦めてしまうわけ。
 そうやって寄付金だけをだまし取る詐欺なわけ。解約に応じてるから犯罪にならず、
 警察も手を出せないの」

 それを聞いて男はショックを受けてうなだれてしまった。
「そうだったのか? 俺はなんて馬鹿なんだ。
 やっぱり俺には起業なんて無理かもしれない」
と頭を抱えて落ち込んでしまった。

しかし、社長はそんな男を慰めるようにやさしく話しかけた。

「あなたのバイクの店の写真もう一度見せて」
「去年廃業しています」
「いい土地よね?」
「いい土地かどうか?
 周りは森に囲まれていて暗いし・・
 こんな土地高く売れないし、商売にも向いてるかどうか・・」
「そこがいいのよ。その空き家を建て替えて店を作らない?」
「どんな店を作るのですか?」
「あなたが言ってるスピリチュアルビジネスの店よ。
 ここに居るみさという女性に店をまかせるの」
「ああ、あの霊能者・・確かにあの女性は詐欺を見抜いていたみたいだ・・」
「あの子に独立させてあげたいのよ。抜群の能力があるから。
 雑貨とカフェも兼ねるつもりよ。
 きっと成功するわ。それに賭けてみない?」
「成功しますかね。今は景気が悪いですからね。
 雑貨とカフェでやっていけますかね」
「大丈夫よ。政府と県庁がバックアップしてくれますわ」
「どうして政府や県庁がバックアップしてくれるんですか?」
「あ、いやいや・・
 彼女はアフリカ雑貨に詳しいので地域起こしに役立つかもしれないって
 知事さんが目をつけてくださっているということです。
 政府もアフリカとの貿易で中国に対抗しているので
 注目してるわけ。それだけあの子はセンスがあるということよ」

 有子はちょっと口を滑らせてしまったと冷や汗を書いていたが
男はそれに気づくことはなかった。

「ほんとうですか? 凄いんですね。彼女。
 あなたを信用しましょう。
 あなたは信用できる人だと地元では有名ですからね。
 あの土地に店を構えましょう。店の改築費は私が出します。
 運営はお任せします。今年中には開店したいですね」
「決断が早いわね。そこがあなたの良いところよ。
 任せなさい。損はさせないわよ」

有子は懸案がスムーズに解決したとほっと安堵した。
知事から
「あの子がデパートに居ると万一の事態が起きたら大惨事になる。
 リスクを最小限に抑えるために周囲に何もないところに店を構えて
 そこであの子を働かせなさい」
と強く言われていて、店を探していたからであった。

「この能天気な武田という男は、あの子の秘密の任務に
 気づくことはないでしょう。好都合な人材だわ」
とにんまりするのであった。

つづく

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