本作品は2018年作です。
<格差社会>
石原ゆき子は今時の人気ナンバーワンの女優である。
ドラマやグラビアなどに引っ張りダコである。そんなゆき子に言い寄る男は
もちろん、山ほどいる。毎日のように男達が近づこうと策を練っていた。
なんとかして彼女に接触しようと試みていたのだ。
そんな男達を品定めするゆき子であった。
「今日誘ってきた男は、イケメンだけどただの俳優。人気が落ちたら終わり。ダメ。
イケメンよりも、実業家で既に一生遊んでくらせるくらいの資産を持っていて
更に上を目指してる男がいい。それが私の理想の男」
などと言い寄る男達を冷たく切り捨てたりしていた。
「私は宝石に等しい価値のある女。この世は格差社会。
人間は生まれた時にステータス(階層)が決まっているの。
私は最も高いステータスの生まれ。だから妥協してはダメ」
そんなゆき子が、ある日、自宅でネットを検索しているとおどろくべき
記事が流れていることに気付いた。
「石原ゆき子 のオールヌード 盗撮動画流出!」
最初はたんなるアダルトサイトのエセ動画だろうと思ったが、ネット上に
次々と、その記事が出てくる。「本物だ」という声も。
「こ、これは・・」
ゆき子に衝撃が走った。「もしかしてあの時の盗撮・・」
ゆき子には心当たりがあった。何度かこっそり温泉に行っていたからである。
すぐにマネージャーに連絡をした。
「私の盗撮動画がネットに流れてるかもしれない」
「嘘に違いない」とゆき子は自分に言い聞かせていたのだが、
後日、マネージャーが調査報告をしてくれた。
「うそでしょ?」
とゆき子は問いただすとマネージャーはうつむいていった。
「いや、本当だったわ。
ゆき子の裸が動画に撮影されているわ。
数カ月前に温泉に行った時に隠しカメラで撮影されたのね。
だから言ったでしょ? 温泉なんて行っちゃダメって」
「ええ、誰かがカメラを仕掛けてたの?」
「ゆき子を狙ったのかどうかはわからないけど、温泉に仕掛けられていたのね。
ゆき子が写ってたから、3万円の高値が付けられたんだわ」
「それって犯罪じゃないの? 警察に訴えましょう」
「まあまあ、落ち着いて
訴えたら本物だって認めたことになってもっと話題になるわ」
「じゃあ、どうしたらいいの」
「知らぬ顔をして無視するしかないわ」
「そんなの嫌よ。盗撮なんてサイテー
最低な男のすることよ。私は女湯に入ったのよ。
どうやって男がカメラを仕掛けたっていうのよ」
「仕掛けたのは女性ということよ。
女だからこそ、わざと騒いでるのかもしれないわ」
「ええ・・女性がそんなことをするの?・・話題にしたのも女性?
私に何の恨みがあるの」
「今は格差社会だから、
上に居る人は下から嫉妬されるのよ。
だから盗撮されたことを認めたら、もっと攻撃されるわ」
「ひどい。私に何も落ち度はないじゃないの」
「まあ、落ち着きなさい。
ネットの動画なんてそのうち消えるわよ。
他人の空似だってとぼけていればいいの。
気にしないことよ。
ヘアヌード写真集を出したと思えばいいのよ」
「いやよ。自分が承諾した写真集とは全然違うでしょ。
盗撮よ。一方的な撮影よ」
「どうあがいてもネットに流出したら回収は不可能よ。
もう諦めるしかないのよ」
「・・・」
ゆき子の動画はやがてネット中に流出し始めた。
ネットに流出した動画は画質が悪く、ゆき子の顔がはっきりしない。
そっくりさんだと言われればそうかもという感じである。
3万円で販売されている映像は顔がはっきり写っているが恥部には
ぼかしが入ってるとのことであった。
そのぼかしもない精細版の映像が高額で闇取引されているという噂も
広まっていた。暴力団の資金源になっているとか・・
ゆき子が暴力団を潤わせているなどと非難する声まで・・
「自分のヌードで暴力団が資金を得ている・・私のせいなの?・・」
ゆき子はさらなるショックを受けたのだった。
ファンの間ではゆき子をかばってくれる人もいたが多くのファンが
「100万円だしてもいい。オールヌードの映像買いたい」
などと書き込みをしているのを見てゆき子はファンにすら嫌悪感を抱くようになった。
ネット上ではこの話題でもちきりである。
ゆき子がネットを見ると嫌でも目に入ってくる。
掲示板などで男達が本物だ、偽物だと興味本位の議論をくりかえしている。
女性達もゆき子に対して「ざまあみろ」と口汚い言葉を書いている。
大勢の人達が自分を盗撮された汚れた女みたいに見ているかもしれないと
思うと精神的にきつい。できればもうタレントをやめたい。
でも、やめれば動画のことでショックを受けたと気付かれてしまう。
無理してでも元気を装わなければならない。
ゆき子のちょっとした態度で「動画のことで悩んでいる?」などと
探りを入れる会話が繰り返される。気苦労を察知されてはいけない。
これはきつかった。
中傷はエスカレートして「売女、AV嬢」などあらゆる差別の言葉がネットで
繰り返し書かれて「もう、タレントはおしまいだな」などと噂されるようになった。
最もゆき子を苦しめたのがプロダクションの陰謀であるという噂である。
そういえばプロダクションもマネージャーも気のせいか?冷たい。
「もしかしたら、プロダクションやマネージャーまでグルでこんなことを・・
私が何か悪い事でもしたというの・・どうしてこんなことに」
ゆき子は自宅に帰って一人になると号泣した。
「助けて・・だれか助けて・・救いはないの?・・」
ある日、ゆき子は「もう死のう」と思いたった。
こんな屈辱の日々が耐えられないと感じるようになったからである。
カミソリを握ったその時であった。
突然、部屋のライトが点滅した。「あれ、停電?」と思ったその時であった。
携帯にタレント仲間の好美からメールが届き、着信の音楽が鳴ったのである。
メールには
「ゆき子、最近元気ないね。何か悩みがあるでしょう?
わかるよ。いい霊能者がいるの、相談したらきっと解決してくれるよ。
大丈夫、その人は口が堅いから。みんな相談してるよ」
と書いてある。
「さっき、一瞬ライトが点滅したけど・・
もしかしたら何か不思議な力が私を助けようとしてるのかも・・」
とかすかな希望を感じたので、その霊能者に相談することにした。
後日、変装して好美と一緒に霊能者の事務所に行くと、
そこには普通の中年女性という格好の人がいた。どこか不思議な雰囲気がある。
霊能者と会った瞬間、ライトがまた点滅した。
「この間と同じことが起きた。霊能者の背後に何かが居る」と感じたのであった。
「はじめまして、石原ゆき子さんね。
やっぱり美人ねえ。お会いできて光栄です」
「あのう、相談なんですけど」
「言わなくてもいいわ。
あなた、ネットで辛い思いをしているのね。
わかるわ。誰にも相談できないことでしょ。
大丈夫、あなたは何も悪くないわ。
必ず助けられるわ。
あなたを助けてくれる人が現れるから。
それを信じてね」
「本当ですか?
私はただ待っていればいいのでしょうか?」
「ううん、あなたはタレントを辞めた方がいいわ」
「私ももう嫌になって辞めたいんです。
でもやめるなんてできないです」
「確かに人気絶頂ですものね。やめるなんて言えないわね。
でも、心配いらないわ。
あなたのお母さんの身にちょっと大変なこと起きるわ。
それを理由に引退すればいいのよ」
「本当なんですか?
母に何かおきるんですか」
「それはちょっと言えないわ。でも大したことじゃない。
よく聞いて欲しいの。
あなたが何故こんな苦しい思いをしているのか?
理由はあなたの前世なの。あなたは前世でインドあたりの王国の
女王様だったの。立派なことをした人なの。だからその徳で
この人生で美人に生まれたのよ。でも、前世でやり残したことがあるの。
それは気位が高いこと。身分が高かったので人を見下す癖があるの。
それがまだ治ってないのよ。
だから、こんな目に遭うの」
「はい、思い当たるふしがあります。当たってると思います。
では、どうしたら救われるのですか?」
「タレントなんてやめてしまいなさい。
そして人を地位や財産、見栄えなどで判断せずに普通の人達に
等しく接する生き方をするのよ。
どこにでもいる平凡な男の人との出会いがあるわ。心の優しい人。
その人と結ばれなさい。この世は格差社会だけど、本当の幸せは
心の中にあるということを世間に示すのよ。
それで前世の宿題が解けるわ。そしたら、
ネットの悩みなんてなくなるわ。
ついでに言っておくわ。
その男の人というのはさっき言ったあなたを助けてくれる人よ。
心の純粋な人よ。それが印。もうすぐ現れるわ」
「本当ですか? 私を助けてくれる人が現れるなら
私は喜んで結ばれます」
ゆき子は霊能者のアドバイスを受けて気持ちが楽になった。
「本当に助けてくれる人なんて現れるのかな・・」と思っていると
実家の母が倒れたという知らせが来た。持病が悪化したとのことである。
「霊能者の予言が当たった!」と感じた。
ゆき子はこれを口実に引退を申し出たのだった。
するとプロダクションは不思議なことにすんなり引退を認めてくれた。
「ただし仕掛中の仕事があるから半年後ね」とのことであった。
「こんなにあっさり引退を許してくれるなんて・・
もしかして盗撮騒ぎで私は見捨てられたのかしら・・
でも、そんなことはどうでもいい。辞めるんだから。
霊能者の予言が本当なら、これでいいのよ。
助けてくれる男性が現れて幸せになれるんだから」
その頃、ネットで俄かにある運動が起きていることに気付いた。
「盗撮被害者の会」である。盗撮の写真や動画がネットに流出している
ことを告発するNPO団体の主張である。
盗撮の写真や動画をネット上から撲滅していこうという運動が起きていたのである。
ゆき子はこの運動が自分の苦しみを代弁してくれていると感じて
頼もしく感じたのであった。
「霊能者に相談してから次々と変化が起きているわ。何かの力が働いている・・」
と感じるゆき子であった。
被害者の会の運動の主催者はてっきり女性だろうと思ったがよく見ると男性である。
しかも、若い男性のようである。
「女性の味方になってくれるこんな優しい男性がいるんだ」
ネットで卑猥な言葉や口汚い言葉を浴びせ続ける、ただスケベなだけの
そこいらの男達とは違うものを感じさせた。
「この人は王子様」と感じるのだった。
やがてNPOは盗撮動画や写真をネット上で検索するシステムを開発して発表した。
「近年の技術の進歩は目覚ましく、ネット上にある写真や動画の
人物を特定すること可能になっています。
盗撮動画も一網打尽に見つけることができます。
これを証拠として削除依頼や裁判に使えるように法務省に申請しています。
盗撮の写真や動画を撲滅する仕組みが構築されます。
今後は法整備を進めて、ネット上にこれらのものを掲載する行為は
犯罪行為として厳しく規制できるようにします」
と力強く主張し始めた。勢力的に活動を進めるNPOの主催者は
佐藤という男である。ITオタクという感じのこぶとりの男である。
彼の活動によって盗撮の写真や動画を載せているだけでも犯罪になると
大勢の人達が感じるようになり、ネット上からは同様の画像は消えていった。
ゆき子はもしかしたら「助けてくれる人というのはこの人かも」と
思うようになってきた。
ゆき子は無事、タレントを引退したが、それを機に言い寄る男達は多かった。
人気タレント、社長、有名スポーツ選手など自信満々に言い寄るセレブばかり・・
しかし、ゆき子はかつてとは違い、そんな男達には見向きもしなくなった。
「この男達は私が奈落の底に居た時に何もしてくれなかった。
ネットで好き勝手なことを書いてた男達と同じ穴のムジナよ。
私は自分を助けてくれる人とだけ結ばれるの。
そして、前世の宿題を解決するの」
ある時、ゆき子の元に手紙が届いた。
「盗撮被害者の会」からである。
代表の佐藤の自筆の手紙が中に入っていた。
そこには
「石原ゆき子さん
あなたも盗撮の被害者ですよね。
お辛い思いをされたはずです。
余計なお世話かもしれませんが、盗撮した人を特定しました。
警察に通報するか? 示談にするかをご相談したいです。
ご心配いりません。盗撮動画は全て削除しました。
また、販売業者は警察が摘発しましたので
あなたの動画はもう販売されませんし、裏取引の噂は
事実ではありませんでした。
裏で出回っている動画なんてありませんでした」
とのことであった。ゆき子は感激の涙を流した。
「向こうから私を助けに来てくれた。なんてこと。
こんな人がこの世にいるなんて。
この人だわ。霊能者が言ってた運命の人というのは」
早速、ゆき子はこの会の代表に会ってみたくなり、事務所を訪れた。
事務所は佐藤のアパートであり、小さくて汚いアパートであった。
ゆき子が訪れると佐藤が出てきたが、太ったさえない男である。
佐藤は緊張しながら「はじめまして、石原ゆき子さんですね」と言葉にした。
「あなたが佐藤さんですね。
お会いできてうれしいです。
立派ですね。被害者の会をされてるなんて」
「い、いやたいしたことないです。
少しは社会貢献をしたいと思いまして・・」
「お仕事は」
「恥ずかしいです。近所の小さな会社に勤めてます」
「お仕事しながら、活動するなんて素晴らしいわ。
どうして盗撮被害者の会を立ち上げようと思ったのですか?」
「僕はネットを見てショックを受けたんです。
女性のみなさんが盗撮された写真や動画で苦しんでいるのに。
男達は何のちゅうちょもなしにそれらを楽しんでいて・・
男として恥ずかしいと思いました。
僕はちがうぞ。世の中にはこんな男だっているんだって・・
女性達のために戦おうと決意したんです」
「ええ、すごい、立派な人なのね」
「実を言いますとあなたの件が活動を起こすきっかけになったんです。
あなたは何も落ち度が無いのに盗撮されてネットで好き勝手に
書かれてましたよね。それを見て怒りを感じたんです。
でも、もう安心してください。ネットの書き込みはほぼ全て削除しました。
動画も一切ありません。訴えると威嚇したら消えてしまいました。
みんな口だけの臆病者ばかりです」
「ありがとうございます。
あなたみたいな人が世の中に居るとわかって感激です。
絶対に会いたいって思って来たんです。本当に素晴らしい人。
なんとお礼を言ったらいいか」
「いいんですよ。
私はあなたの安堵してる姿を見るだけでうれしいです。
ところで、手紙に書いたことなんですが・・・
警察に訴えますか? それとも示談にしますか?」
「ネットから動画が消えたのなら警察沙汰にしなくてもいいです。
もう私はタレントではないですから。
もう静かに暮らしたいんです」
「そうですか、わかりました」
「佐藤さん、あなたってお一人?」
「一人って?どういう質問ですか?」
「ちゃんと答えて、私の質問に・・」
「なにを・・」
「じゃあ、質問変えるから。
結婚してるの?」
「いや、してないです」
「彼女はいるの?」
「いないです。
僕に彼女なんてできるわけないです・・」
「どうしてそんな風に考えるの・・
私がもし、仲良くなりたいって言ったらどうします」
「ええ、そんな冗談やめてください」
「冗談じゃないと言ったら」
「うそですよね」
「もう・・じれったい人ね。
はっきり言うわ。私はあなたとお友達になりたいです。
いやもっと親しい間柄になりたいです。
ずばり・・恋人になりたいです」
「・・・」
「私じゃダメなの?」
「いや、そんなことないです。
あなたと僕では世界が違いすぎます。格差がありすぎます。
あなたはもっと立派な人と結ばれるべきです」
「私は、あなたがいいの・・」
「ダメです。
僕なんか、ださいし、貧乏だし・・
あなたにはふさわしくない・・」
「私はあなたに惹かれたの。
セレブとか金持ちなんて私の外見だけが望みなの。
私はお人形さんと同じ。そんな男達なんてもう、うんざり。
あなたは私を助けてくれた恩人。心の優しい理想の男性。
もう、あなた以外の男なんて考えられないの。
格差なんて関係ないのよ」
佐藤は泣き出した。
「冗談はやめてください」
それを見たゆき子は強く確信した。
「運命の人って、この人に間違いない。
こんなに純粋な人だから」
佐藤は信じられないと拒否したがゆき子の決意は変わらず、
やがて、ふたりは交際することになった。
ゆき子は霊能者の予言は本当であったと感じ、躊躇することなく
佐藤と結ばれる決意をしたのであった。
後日、佐藤の所にスーツを着た男がやってきた。
「佐藤様、いかがですか?」
「はい、お陰様で天にも昇るような毎日です」
「佐藤様の望みはかないましたか?」
「はい、叶いました。ありがとうございます。
契約の通りになりました」
「よかったです。
しつこいようですが、また確認をさせて頂きます。
本当にいいんですか? 彼女と1年交際するだけで
命を捧げても? これが最終確認ですよ」
「もちろんです。
ゆき子さんを恋人にできるなら1年で十分です。
死んでもいいです」
「わかりました。
では1年後に臓器移植のために体を捧げていただきます。
契約内容を再度確認いたします。
わが社の顧客である資産家の御子息が不治の病にかかり、
臓器移植しか治療法がないことが判明しました。しかも、
佐藤様しか合致する人がいないことも判明しました。
佐藤様の臓器、すなわちお体がどうしても必要になったわけです。
我々は秘密に活動してますがテロリストやマフィアではありません。
殺害したり、拉致したりなどは決して致しておりません。
お客様もそれは望んではいません。
臓器は佐藤様の合意を得て頂くことにしました。
佐藤様の合意の条件は、
石原ゆき子さんと1年間交際するということですね?間違いありませんね?
我々はあらゆる手段を尽くして佐藤様と石原ゆき子さんが結ばれるように
画策いたしました。間違いなく成功しましたね?」
「はい、石原ゆき子さんと私は現在交際しています。間違いありません。
合意した条件は実現しました。
契約通り、1年後に私の体はお譲りします。
尚、譲るとき、失踪したことにしてください。
ゆき子が悲しまないよう、うまい失踪のシナリオを作ってくれますね?」
「もちろんです。佐藤様のお望み通りにします。
では契約成立です」
男はオフィスに戻り、上司であるMM(ミッションマネージャー)に報告した。
「マネージャー、このPJは無事成功しました。
苦労しました。盗撮騒動、霊能者の演出、被害者の会の運動・・・
みんな私の部署で画策しました。かなりお金と労力が要りました」
「ご苦労さん。
臓器の主があんな馬鹿でよかったわね」
「マネージャー、
そんなことを言っては可哀そうです。
トップアイドルを手にできるなんて男にとっては最高のロマンなんですよ。
命を捧げてでも手に入れたい宝ものなんです。
彼は最高の幸せを手にしたんですよ」
「ふふ(笑)女の私にはわからないわ。
アイドルと交際するだけいいなんて、しかも1年・・
まあ、たしかに実現可能な条件で私達は助かったんですけどね。
しっかし、金持ち一人ために、ハリウッド映画を作るみたいにお金と人を総動員し、
二人の人生をオモチャにして、社会運動まで起こして世間をかき回して・・
いやな仕事ねえ」
「マネージャーがミッションに対して悪口を言ってはいけませんよ。
ミッションがあるから私も、マネージャーも、スタッフも工作員たちも
みんなそれで生活することができるんです」
「わかってるよ。それくらい。
あんたの業績はきちんと評価してあげるから、心配しないで。
ところで、一つ、疑問があるわ。
どうやってあの男が適合する臓器を持ってるってわかったの?
ドナー登録してたわけではないでしょう? その秘密だけ教えて」
「今はAIがあるんですよ。人間ではできないことも可能にしてくれます。
部下にそのエキスパートが居るんです。2年前にヘッドハンティングしまして。
今回の見事なシナリオもAIが作成に協力してくれたんですよ」
「あら、やるわね。
MMの椅子をあんたに譲りたくなったわ。
でも悲しいわね。AIまで金持ちの味方ってことね」
「マネージャー
お客様に対して「金持ち」なんて失礼な言い方をしてはいけませんよ」
「あんたって仕事人間ね。出世するわね。
そうね。お客様は神様ですものね。
これが悲しい格差社会の現実よね」
おわり
注)・・世の中の多くのことが大富豪の個人的な都合で動いてる・・のかもしれない。
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