<イメージ法の奇跡>

ここは病院、和子は車イスに乗りながら、窓の外を眺めていた。
和子は高校1年生であった。最も遊びたい盛りであったが、突然足が動かなくなり、 入院となったのである。
もう一ヶ月にもなるが症状は悪化する一方であった。
窓からテニスコートが見え、若者が楽しそうにプレイしているのを見る度、 悲しい気持ちになっていた。

 医者はもう少し我慢すれば治ると励ましてくれたが、わざとらしい励ましは、
返って自分がもう二度と歩けなくなる事を予感させた。
「どうせ、私の足は一生治らないのよ、
もう、私はテニスも出来ないんだわ、遊びに出掛ける事も出来ないんだわ、
結婚もできないでしょう。
どうして私だけこんな目に遭わなければならないの、死んだほうがましよ。」
和子は悲嘆に暮れた。

 彼女の唯一の楽しみはクラスメートが見舞いに来てくれることであった。
実は、彼女が密かに想いを寄せている俊樹が来るのを最も望んでいたのである。
俊樹は時々、一人で和子の見舞いに来てくれたのである。
「俊樹くんはきっと私のことが好きなんだわ。
ああ、どうし て、この足が歩ければ、俊樹くんと交際できるのに。」
和子はいつも俊樹の事を考えていた。

  和子は何か奇跡でも起きて足が治らないかといつも考えていた。
ある日、TVを見ていると、奇跡のイメージトレーニグ法の特集をやっていた。
スポーツでの勝利やビジネスの成功が、イメージを想い描くことで達成されることが紹介されていた。
更に、和子の興味を惹いたのが不治の病気をイメージ法で治した実例であった。
健康な自分を想い描くことで、奇跡的に治るというものであった。
先天的に足が不自由な少年が歩けるようになった話が紹介された。少年は語っていた。
「僕は、レーサーになりたかった。
だから自分が車を運 転してる場面を毎日思い描いた。絶対実現すると信じていた。」
この話は和子を励ました。
「そうだわ、自分が一番やりたい事を想い描いて絶対実現すると思えばいいんだわ。
私も足を治してみせるわ」和子に希望の光が輝いた。
 和子は早速自分の一番やりたい事を考えてみた。
年頃の彼女にとってはやはり、俊樹との恋が一番であった。

和子は俊樹とのデートの場面を思い描いた。
もちろん自分の足で、いろんなところに出掛ける場面を思い描いた。
和子は毎日、何度もこのイメージ化を行った。
段々とイメージは明瞭になっていき、 楽しみに感じられて来た。

 何日間か、経ったころであった。
イメージ化した後、何かゾクゾクする感覚があった。
絶対実現するという確信のような感覚が走った。
 その頃から不思議な事が起こった。
足の感覚が少しづつ戻ってきたのである。
医者は驚いた。
「かずちゃん。良くなってきてるよ。」
医者は毎日珍しそうに和子を観察に来た。
3日後には足をぶらぶらさせたり、筋肉を動かしたりできるようになった。
医者は首をかしげながら和子を観察しつづけた。
「かずちゃん、リハビリしよう。歩けるようになるかもしれ ないよ。」
医者は和子にリハビリをさせた。
 リハビリを実際に行うと和子は5日もすると、自力で立ち上がれるまでになった。
和子は医者が驚く程の回復を見せたのである。
「かずちゃん、やっぱり若さだね、こんなに早く回復す  るのを見たことないよ」
医者は口々に言った。
和子は毎日が感激であった。
「うそみたい。足が思うようになっているわ。夢みたい」
 和子はほっぺをつねった。はっぺは痛かった。
「イメージ法が効いたんだわ、魔法みたい。もうすぐだわ、俊樹くん待っててね」
 和子はあのゾクゾクする感覚がしてから二週間ほど経った頃、遂にほとんど正常に歩け るようになり、退院が許された。

 次の日、久々に学校に通学した。
クラスメートは和子を暖かく迎えてくれた。
毎日が夢の様であった。
 ある日、俊樹が和子のところへやって来た。
俊樹は和子に恥ずかしそうに話しかけた。
「あ、あの、おれ、和子にさ、話があんだ。
今日一緒に帰ろうぜ、いいだろ」
 和子はうなずいた。俊樹は逃げるように去っていった。
 和子は心臓が破裂しそうに緊張した。
「俊樹くんが誘ってくれるなんて!話ってなにかしら...もしかして」

 ここは病院、和子はベッドに寝ていた。
両親が両脇に立っていた。医者がやってきて、両親に告げた。
「お嬢さんはもう半月程、昏睡状態になっています。
この病気は世界でも数十例しかない奇病で原因も治療法も分かっていません。
足から炎症を起こし、あっという間に全身に広がるのです。
お嬢さんはもう末期的症状です。
この衰弱ぶりからすると、あと2、3日の命でしょう。
残念ながら手の施しようがありません。」

両親は泣き崩れた。「かわいそうに、これから青春だというのに」
 両親を慰めるため、医者は語った。
「この病気は症例によると、昏睡状態の時、かなりうなされるのですが、
お嬢さんの場合は、ずっと幸せそうな顔をしてました。
きっといい夢を見ているんでしょう。」
確かに和子の表情は幸せそのものであった。

おわり

(注)...彼女のイメージ法は実現したのである。

 



<奇妙な集団メセスデル>

エリカはOLであった。
彼女は不思議な魅力を持っていた。
神秘的としか言いようのない雰囲気を漂わせていた。
しかし、その為か友達も少なく、心の内を話せる人もいなかった。
当然彼氏もいなかった。
たまに、彼女の不思議な魅力に惹かれ、近づく男もいたが、 交際するとすぐに男の方から逃げてしまった。
「変な女だ。」と陰口をいいながら。

彼女は、何をしても、何を考えても他人からは奇妙がられた。
好みも、価値観も、周りの人と相いれる事は少なかった。
彼女もどうして、いつも他人とうまくゆかないのか分からず、悩んでいた。
最も周りの人を驚かせたのは他人の考えを見抜いてしまうことであった。

 ある日、彼女は雑誌を読んでいると、ある広告が目に入った。
それは、神秘サークルの広告であった。
「メセスデルにあなたも参加しませんか。」というものであった。
「今どき神秘サークルなんて」と思ったが、メセスデルという言葉と奇妙なマークが気になって しかたがなかった。
彼女は広告をみれば、インチキかどうかなどすぐに直感で見抜いてしまうが、 この広告に限って何故か心惹かれた。
「ここには、私と同じ様な人がいるような気がする。」
と感じたのであった。彼女は、早速案内を要求した。

すぐに案内が届いたが、特に団体の説明はなく、週一回の会合に来て見て下さいとだけ書いてあった。
次の日曜に彼女は案内の場所に行った。受付に行くと係りの人が説明をしていた。
「ようこそ、うちは自由な団体です。
今日一日メンバーと自由に交流していって下さい。
10回会合に参加した人に正会員の資格が与えられます。
正会員になると本人の自主性に従って活動や奉仕に参加できます。」
エリカは、メンバーが雑談している部屋に案内された。
そこには、不思議な雰囲気が漂っていた。
自分と同じような顔つき、ファッションの人々。喋っていることも自分と共感するようなことばかり。
みんな何処かで会ったような気のする人々..。

エリカは今までのうっぷんを晴らすかのように自ら人々の会話に加わった。
「何て言う事! こんなに話がはずむなんて、こんなに自分を理解してもらえるなんて」
エリカは感激した。生まれて初めての感激であった。
しかし、メンバーは団体のことについては固く口を閉ざしていた。
エリカが聞いても「あなたが正会員になったら全て教えてもらえます。」
と言うだけであった。
けして何かを隠している様ではなく、ただ言いたくない様であった。
エリカにはメンバー達の心から悲しみが感じられた。

不思議なことに、メンバー達は新規来場者を会員に誘おうともせず、ただ来たかったら次回も来て下さい と言うだけであった。
「本当に自分達と波長が合う人だけにメンバーになって欲しい。」
とのことであった。

そこに、もう一人新規の来場者がいた。
実貴(みたか)であった。
エリカと実貴が会った時、互いに顔を見合わせてしまった。
どこかであったような、過去に一緒に暮らした様な感じがしたのである。
実貴はにこやかにエリカに話しかけた。
「僕は今まであなたのように心ときめく女性に会ったことはありません。
この後食事にでも行きませんか」
随分臭い誘い文句であったが、エリカのハートを射抜いてしまった。

二人の甘い交際は始まった。デートの場所はメセスデルの交流の会場であった。
二人は互いに波長の合うパートナーであることを確認した。

エリカと実貴が10回目の会合に参加した時であった。
係りの人が二人に正会員になるか聞いてきた。
二人とも「はい」と答え、事務手続きを行った。
係りの人は「ではこの後、入門の儀式があります。」と答えた。
交流会の後、別の部屋に案内された。メンバー達も来てくれた。
部屋は奇妙な祭壇になっており、奇妙な衣装をまとった司祭の様な人が出てきた。
奇妙な光景ではあったが二人には違和感は感じられなかった。
奇妙な音楽が鳴り、奇妙な儀式が行われた後、創始者の声明の代読が行われた。
司祭は読み上げた。

「では、当団体メセスデルの創始者ライス氏の声明を代読します。
ライス氏は当団体を1988年にアメリカで創設して、現在5カ国に支部を広げております。
以降はライス氏の言葉です。

今から約60年程前のことだと思います。
銀河系のある惑星でのことです。
その惑星には地球よりも永い歴史を持つ文明がありました。
完全な調和と幸福、そして霊的文化の発達を達成していました。
しかし些細なことでこの文明に対立が起きました。
対立は惑星全体に及びました。
その惑星で遠い過去に決別したはずの兵器が再び造られました。
やがて惑星各地で戦争が起こりました。
高度な技術で造られた兵器が使いなれぬまま使用され、恐るべき破壊がなされ 、文明はことごとく粉砕されました。
多くの住人が戦争の犠牲となりました。

実は私もその時この惑星の住人でした。
その時の記憶は鮮明に残っています。
今でもその時の恐怖は忘れられません。
私は戦争に巻き込まれて死んでしまいました。
すぐにこの地球に生まれてきました。
地球にて生活する内、その時死んだ仲間の一部が私と一緒にこの地球に生まれてきている 事に気づきました。
私は是非とも仲間達と一緒に活動したいと思い、このメセスデルを創設した次第です。
ここにいる皆さんは私と同じ仲間なのです。
当会のマークは”仲間”という文字なのです。
メセスデルという言葉は”仲間よ集まれ”という意味なのです。
これらに惹かれて来た人は仲間なのです。
おお、仲間達よ、一緒にこの地球で助けあっていこうではないか。
我々には、偉大な英知の記憶があります。
この英知を地球で生かそうではないか! 
我々の英知で地球から母なる惑星に行けるようにしようではないか..。
私は信じています。
母なる惑星では、現在、我々の仲間が平和を取り戻し、幸せに暮らしていると。
そして、我々が戻るのを待っていると...」

代読は続いた。
一般の人には荒唐無稽に聞こえる内容ではあったが、二人には、 抵抗なく受け入れられた。
直感的にこの声明が嘘でないことを確信した。
今までの疑問が、全て解決したし、ぼんやりと過去の記憶が蘇って来ていた。
エリカには母なる惑星の景色、町並み、人々の姿が頭の中をよぎっていた。
メンバー達に暖かく迎えられながら、二人はメセスデルへの奉仕を誓った。

儀式の後、二人は近くの公園で夜空を眺めた。
雲一つない空で星が綺麗に輝いて見えた。
空を眺めていると例の惑星の住人とテレパシーで通じるような気がした。
「いったい、私達の惑星は今どうなっているのでしょうね。」エリカはつぶやいた。
エリカは目を閉じ、精神を集中させた。
遠い彼方より深い悲しみと寂しさだけが伝わってきた。
自然と涙がこぼれてきた。
「いったい、どうして私たちだけここにいるの。
仲間達の居る故郷へ帰りたいわ。
きっと、故郷では仲間達が悲しんでいるわ。
何とかしてあげたいわ。
本当に私達が生きている間に故郷へ行くことが出来るようになるのかしら。」
とエリカは空に向かってつぶやいた。

実貴は答えた。
「もう考えるのはよそう。我々はもう地球人なんだよ。
ここが故郷なんだよ。新しい生活を始めなければいけないんだよ。」
実貴はエリカをそっと抱き寄せた。
二人は目を閉じ、抱きしめ合った。
二人は宇宙の仲間達の波動と同調しているようであった。
宇宙にちりぢりになった仲間達の波動が感じられてきていた。
故郷の輝かしい歴史の記憶が走馬灯の様に彼らの精神に伝わってきた。
二人は自然に涙がこぼれるのを押さえきれなかった。

悲しいことに、彼らが想いを寄せる故郷は惑星ごと消滅して存在してはいなかった。

おわり

(注)...もしあなたが地球に違和感を感じるなら、他の星から来たのかもしれない。



<運命の絆>

  景子は恋人の武雄と旅行中であった。
ツアー旅行とはいえ、武雄と二人っきりの旅行は始めてであった。
二人はバスの中で楽しい時間を過ごした。
バスがトンネルを走っていた時であった。
突然ゴォーッという凄い音が聞こえ、バスは振り飛ばされるような衝撃を受けた。
突然のことで誰も悲鳴さえ出せなかった。

しばらくして、景子は意識を取り戻した。
景子はバスが土砂崩れに遭ったことに気づいた。
あたりは真っ暗であった。
何一つ見えない暗黒の世界であった。
景子は起き上がろうとしたがだめであった。
バスの天井が自分の顔の上10cmくらいまで迫っていることに気づいた。
それと足が壊れたイスに挟まって動かせない。
景子は声を出した。
「た、たすけて。」
しかし土砂に埋もれ、声が外に響くはずはなかった。
景子は恐くなった。
「どうしたらいいの、このままじゃ死んでしまうわ。」
景子は気が動転して大声で助けを求めた。
すると暗闇から声がした。
「おちつくんだ。そのうち救助が来る。でも多分時間がかかる。
その間、体力を無駄にしてはいけない。救助がくるまで、おとなしく待っているんだ。」
「あなたは誰。」
「君の後ろに座っていた男だよ。
山本っていうん だ。どうやら運よく僕らは生き残ったようだ。
必ず救助は来る。
それまで楽しく話でもしていようぜ。
心配しても何も得しないよ。俺は学生なんだ。」
景子は気持ちが落ち着いてきた。
その時であった。
景子の腕を何かかつかんだ。景子はその手を握った。
その腕の方から声が聞こえた。
「け、景子か。助かったのか。俺だよ。武雄だ。
おれは運よく軽い怪我ですんだ。
足が痛むが大丈夫だ。
どうもバスのこのあたりは運よくつぶされなかったみたいだ。
空気も流れ込んでいる。窒息の心配はない。」
「前のアベックさん二人とも無事だったか。
よかった。俺は高田っていうんだ。この俺も運がよかった。
山本と俺は野郎同志のカップルさ。よろしくな。」
武雄の後ろから別の声がした。

山本は景子に話かけた。
「景子さん、実は俺、バスに乗っててずっと気になってたんだ。
お友達になりたいなって。」
「おいおい、山本、全くしょうがね奴だ。
俺達はナンパする為にここに来た訳じゃねえ、宮沢賢治の古里を訪問するってのが目的じゃなかった のか。
少しは卒論のこと考えてるのか。」
「ば、ばか、アベックをナンパしようなんて思ってねよ。
景子さんみたいなベッピンさんと話がしたかっただけだよ。」
山本と高田の漫才のような会話は景子の気持ちを落ち着かせた。

丸二日程時間が経ったが救助の音は聞こえてこなかった。
景子は喉の渇きと空腹で段々不安になって来た。
武雄は景子のことを力づけようと話掛けた。
「景子、頑張るんだ。必ず二人で助かろう。
俺、実はお前にプロポーズするつもりだったんだ。助かったら結婚しよう。」
「うひょー、こんな状況でプロポーズなんて、ドラマみたい。
結婚式には俺達も呼んでくれよ。盛大に祝ってやるから。」
山本は叫んだ。
「も、もちろんよ。私たちは、事故で奇跡的に生き残ったんですもの。
きっと運命の絆で結ばれているのよ。」
景子は涙ながらに語った。
4人は不安を覆い隠す為に明るい話題の会話をし続けた。
やがて疲れて皆眠ってしまった。

景子はふと目を覚ました。
景子が耳を澄ませていると遠くからかすかにドドドという音と振動が伝わって来た。
「救助だわ。助かるわ。」
音は段々近づいていた。
「もうすぐだわ。神様、私たちを助けて下さい。」
ブルドーザのつめがバスの車体にかかり、バスが揺れた。
するとシャベルで土砂をかき分ける音に変わって来た。
やがてバスの屋根のあたりまで救助が来ていることがわかった。
景子は天井をたたいた。天井から声がした。
「誰かいるのか。」景子は必死にたたいた。
「おおい、生存者がいるぞ!!」外の人が自分に気づいてくれた。
景子はほっとした。と同時に一気に疲れが出て気を失った。

景子が目を覚ますとベットの上であった。
看護婦が立っていた。看護婦は話し掛けた。
「お目覚めね。あなたは奇跡的に助かったのよ。もう大丈夫よ。」
景子は武雄を探した。しかし、部屋には自分しか居なかった。
「武雄さんは何処。山本さんと高田さんは?」

看護婦はうつむきながら語った。
「残念ですけど、この事故で助かったのはあなただけです。
他の人は全員即死でした。」

おわり

注)・・運命の絆で神に召された者達はたった一人の生存者を救助されるまで 見守っていたのであった。

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